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最高裁判所第二小法廷 昭和26年(オ)407号 判決 1953年4月17日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

論旨は、民法第七〇八条の解釈に関する原判示を非難するに帰するものであるが、上告人が本訴の請求原因とするところは、上告人が被上告人中原に対し種油の購入を委託し、その代金として金五万円を同人に交付したところ、右代金を種油の購入に使用せず、被上告人等が共謀してその役員をしている豊洲竹産有限会社の職員の解雇手当給料等の支払に充当費消したものであるから、不法行為による損害の賠償を求めるというのであつて、仮に上告人所論の如く被告人中原に不当利得による右金員の返還義務があるものとしても、被上告人等の共謀による右金員の費消行為を以て民法にいわゆる不法行為に当るものとはいえないから、論旨に対する判断をするまでもなく、上告人の請求を棄却した原判決は結局正当に帰する。

よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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